ども、さくぽんです。
群馬県北軽井沢という、ちょっと聞き慣れない土地にありながら、日本全国のキャンパーがこぞって行きたがるキャンプ場、それが北軽井沢スウィートグラス。
そのキャンプ場を運営する会社「きたもっく」の社長、福嶋さんが本を出版されたので紹介します!
未来は自然の中にある
「未来は自然の中にある」というタイトル。
これ、社長ご自身が何年も前からおっしゃっていた言葉でした。
僕らは日本一周キャンプ旅をしていたときに、スウィートグラスで働いていたこともあって、社長とお話をする機会も多く、
活火山の浅間山の麓という土地柄、標高1,100mで冬はマイナス20度まで下がることもあるという厳しい環境の中でいかにして、「北軽井沢スウィートグラス」というキャンプ場を育ててきたのか。
いろんなお話を聞いてきました。
その時にお話頂いたことはもちろん、その他にもキャンプ場だけでなく、薪事業なども含めて、自然を活かしたきたもっく(北軽井沢スウィートグラスの運営会社)がどのように事業を行ってきたのか、何を目指しているのかを知ることができる、コンセプトブックでもあります。
”自然は礼儀正しく、勤勉だ。”
印象に残ったところをいくつか引用してみます。
私たちは、地球という星に住んでいる。365日かけて太陽の周りを一周し、夏が終われば秋が来て、秋が終われば決まって冬が来る。1日足りとも明けない夜はない。もう何億年も。この礼儀正しさと勤勉さは、私たちを畏れさせる。
地球規模の話をされてしまうと一見、近寄りがたい印象を受けてしまいますが、社長はそれを「自然は礼儀正しく、勤勉である」と表現します。
ある時期、社長の考えにすごく傾倒していた時期があって、その時に思ったのが
「人間って嘘をつくけど、自然って嘘をつかないよな」ってことでした。
なんかこう、日本一周キャンプの旅をしていると、楽しいことばかりではなく、辛く苦しいこともあるのですが、自然を前にするとそんな悩みが吹き飛んでいってしまう瞬間もあって、
僕がアウトドアや自然遊びにのめり込んでいったのも、この時思ったことが大きいのかもしれません。
北軽井沢スウィートグラスのスタッフは”ルオムテラー”
そして、この本の中ではスタッフの方も登場します。第2章はキャンプ場のマネージャーでもある玉井さん(通称たまちゃん)です。
たまちゃんの章では、社長を始め、みんなが「会長」と呼ぶ、北軽井沢の土地で尊敬されてやまない人がいます。
その方は北軽井沢という土地を誰よりも知り、冬には自らの手で炭を作るほど。
その会長いわく「雑木という木はない」と言います。
僕も実際にお会いしたことがありますが、パッと見はごくごく普通の田舎のおじさんに見えなくもないのですが、お話を聞いていく中で、考えていることの深さというか、
とてもじゃないけど、僕の言葉では言い表せないような深みを持っている方です。
ぜひ、北軽井沢スウィートグラスに行った際は、たまちゃんに聞いてみてください。
スタッフのマーヴィンの笑顔も最高です。
ルオム=自然に従う生き方
スウィートグラスに行くと、よく聞く言葉があります。それが「ルオム」です。
ルオムは、北欧フィンランドで自然農法とかオーガニック製品を意味する言葉として日常的に使われている言葉です。広義では、”自然に従う生き方”を意味しています。
春夏秋冬、自然が厳しい土地だからこそ、この考え方がしっくり来るのかもしれません。
ちょっと長いですが、この文章も印象に残ったので引用します。
ルオム(自然に従う生き方)は、自然の強い強制力の下での、生きる力の源泉にたどり着く確かな手がかりを与えてくれるものでした。
一方、自然に対置される社会はといえば、公平でも平等でもなく、どちらかといえば、不公平・不平等です。まず、お金がなければ何も買えない。社会的地位や立場だってみな違う。それでいて、誰もが挫折と不安の繰り返しによるストレスを抱え込んでいます。
どうすればいいのか・・・。
頑張れとか夢を持てとか言ってみたって、素直には受け止められない過酷な現実があります。
そんな時、自然の中に身を置いてみる。自然は誰にでも平等で差別がない。
寒ければ誰だって寒いし、暑ければみな暑い。モノや財産を持つ人が有利な場面はあるかもしれないが、より大きな自然の前では逆に弊害とさえなり得ます。
いずれにしても個人の力は無力で自然の変化に太刀打ちできない。自然を前にした時、小さな人間、無力な自分が見えてきて、「素」になった自分を発見できる・・・それは自然だけが持つ偉大な力。自然の中での喜び、笑い、掛け合う言葉、恐怖や辛ささえもが素直な自分を取り戻してくれるのです。
なんで都会の人がキャンプをするのかが、この文章の中に書かれているような気もするし、
僕自身がキャンプで救われた過去を持っているので、この考えがすんなり入ってきました。自然の懐の深さが僕は好きなんだと思います。
「場づくり」からフィールドビジネスへ
「キャンプ場」というものにも言及されていて、
キャンプ場は、人と自然を近づけること、そのために五感を呼び覚まし、大きな自然に対置された小さな人間が作るコミュニティーの温かさを体感できる”場つくり”そのものでした。
自然がもたらす恵みや効力を活用し、キャンプフィールドという”場づくり”を進めることで、人と人のナチュラルな関係を作り出す。私たちは、これを「フィールドビジネス」と名付け、自分たち流のビジネスモデル(稼ぎ出す仕組み)と考えたのです。
っと社長は語ってます。
一時期、キャンプサイトを削って、コテージを建てたスウィートグラスへの批判が高まった時期があったのですが、それは社長自身が「北軽井沢スウィートグラス」を単なるキャンプ場として捉えているのではなく、自然と人とをつなぐ「場」だと捉えているからなんじゃないのかなーなんて思いました。
以前、社長と話していた時に、スウィートグラスにはたくさんのキャンプ場経営者やスタッフが来るんだけど、いつも同じことを伝えると言ってました。それは
「キャンプ場は人と自然をつなぐ役割。その土地土地の自然を熟知して、その特徴を存分に活かせる。2つとして同じ土地はないのだから、キャンプ場運営はおもしろい」ということです。
ふむ。自らの手で北軽井沢スウィートグラスをつくり、何百本もの木を社長自ら植えていったからこそなんでしょうね。すごい。
まとめ
社長は、「未来は自然の中にある」といいます。
きっと、たぶん、この言葉を真に理解できる人なんて、なかなかいないと思います(特に東京的な生き方をしている人)。
僕も100%理解できているかと言われたら、そうではないし、もしかしたらスタッフの人も100%理解できてないかもしれません(笑)
でも、過去25年、一度たりとも前年の売上を下回ったことがなく、年間9万人が利用する「場」を作った社長の考えだから。
きっと、もしかしたら、僕たちの未来は自然の中で見つけることができるのかもしれませんね。
自然に携わる仕事をしている人、自然が好きな人、都会的な生き方に疲れてしまった人に読んで欲しい一冊です。
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